FF11 RMTオンラインゲーム運営にとって,RMTをはじめとする不正行為の取り締まりはなかなかに頭の痛い問題だ。放っておいては既存のプレイヤーに損害を与え,その悪評が広まれば新規プレイヤーの獲得も難しくなる。しかし,対策を施すにしてもコスト面の問題が持ち上がる。不正対策システムの導入にかかる費用もそうだし,何より対策スタッフ/チームの維持に必要なランニングコストが大きくなってしまうからだ。
そのコストに見合う効果があるのか──すなわち,それだけの売上増が期待できるのか。オンラインゲームを運営しているのが企業体である限り,この命題をクリアできない案件は,なかなか実現しないのが実情である。
それでは,専任チームとしてスペシャルタスクフォースを編成し,24時間体制で不正対策に取り組んでいるFFXIではどうなのか。グローバルに展開する大規模なゲームだけに,ザオック RMT,さぞ莫大な人員を──すなわちコストを投入しているのかと思いきや,実のところ,そんなことはないとSundi氏は説明する。
FF11 RMT「スクエニさんだからそういうことができるけど,うちには無理だとかよくいわれます。でも,そんなことはないんですよ。スタッフの総数は公表していませんが,おそらく想像されているよりも少ないですよ。全然小規模なんです。したがって,中小規模のオンラインゲーム運営チームであっても,できないことはないと思います」(Sundi氏)
小規模の人数で十分な効果を上げるには,効率化が重要となる。Sundi氏によれば,まず業者も含めて不正利用者は,非常に分かりやすい行動を取る。例えば多くの人にとって,最も身近な不正行為はクライアントの改ざんによるチートだ。すなわち,開発と連携してチートの原因となるクライアントの“穴”を塞いでいくだけで,ログをチェックするまでもなく不正を未然に防ぐというわけだ。
次の段階は,「ワープ」「寝マクロ」といった不正の取締り。これはログのチェックが必要となるが,ここでも開発との連携は欠かせない。ログのすべてに目を通すのは困難なので,特定の行動のみに絞ったものだけを引き出せるようにするのである。つまり寝マクロでいうなら,同じ場所/一定の時間/反復回数といった複数の条件でふるいにかけて抽出されたログから,実際に不正行為かどうかを判断するというわけである。
新たに不正の疑いがある行為が発見された場合,最初は実際に目で追っていくしかないのだが,そのパターンを特定し,さらに開発と連携することによって関連するログの抽出までは,ほぼ自動化できるというわけだ。そこから先は,人間の手によって,例えばクライアントの不具合が原因ではないかといったような判断がなされるのであるRMT。